『夢は必ずかなう‐物語 素顔のビル・ゲイツ‐ 』小出重幸

「夢」を生み、叶えられる社会とは。
夢は必ずかなう―物語 素顔のビル・ゲイツ
ビル・ゲイツについての伝記。日本人が書いているので、翻訳物に比べて文章がわかりやすい!コンピュータやアメリカの社会背景を詳しく知らない自分でも読めました。逆に言えば、コンピュータに通じている方やマイクロソフトの成り立ちをよくご存知の方には物足りないかも?
内容は、「幼年時代と教育」と題されたビル・ゲイツの生い立ちに始まり、中学でのコンピュータとの出会い、高校で立ち上げたビジネス、パソコンの登場、マイクロソフトの起業、ウィンドウズ95が出される辺りまで。補足的にビルの行う社会貢献や子育てなどについても言及されています。アメリカの文化的側面についての解説が非常に充実しているので、教育や社会環境についても学ぶことができます。
読んでいて一番強く感じるのは、教育の重要性。なぜ日本にマイクロソフトやグーグルが生まれないのか、なんて議論がかなり前からありますが、恵まれた高度教育環境はなかなか日本には真似できない。勉強そのものの高い密度はもちろん、「エリート」と呼ばれる人たちが数多く一つの場所に集まるのだから、そこから生まれる互いの化学反応は想像以上に豊かなものでしょう。知識だけでなく有力な人脈も、大きなツール。
高度な教育機関に入る過程で受ける家族や周囲からの刺激も、無視できない。ビルの家族は家庭での知育について非常に真摯に構えていて、子どもを単に学校に預けていればいいとは考えていなかったようです。それに加えて世界語になりつつある英語でつくられたシステムと経営、世界一に挑戦できる土壌はやはり存在しているようです。
家庭での知育、優秀な人材の集中教育、英語。一つずつを見れば必要条件でしかありませんが、三つ合わさると世界企業が生まれる可能性はかなり高くなるのではないでしょうか。
だからといって、日本を全部変えろとは全く考えません。それでも、将来を見据えて教育政策を構想するのならば、長期的な指針としてマイクロソフトやグーグルを生む社会土壌を深く観察することは、大変有益だと感じました。
 
この本は、ビル・ゲイツの講演会に行ったときに抽選で当たった賞品です。ビル・ゲイツを見たとき、偉人的なオーラのようなものは感じたけれど、やっぱり自分からはまだまだ遠かった。同じ道を歩むわけではないけれど、いつか追いついてやる!と思ったのをよく覚えています。
 
夢は必ずかなう―物語 素顔のビル・ゲイツ
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