『アリス(Něco z Alenky)』ヤン・シュヴァンクマイエル(Jan Švankmajer)
You must close your eyes...otherwise...you won't see anything!!
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2005/02/23
- メディア: DVD
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やっと観た。
チェコスロバキア・プラハ出身、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品。
タイトルの通り、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』のオマージュ…ではあるけれども、シュルレアリスムを多分に取り入れた仕上がりなので、万人受けはしないでしょう。
でも、とても美しい。
おとぎ話のアリスとは、違うけれども全く違わない。
画鋲入りジャム、釘まみれのパン、生きた虫の缶詰、鍵の油漬け、靴下芋虫、埃と生肉……
「目を閉じなきゃ―さもないと、何も見えないのよ」映画冒頭の言葉。
思えば自分は他人の手垢を嫌っていても、自分自身の些細なフィルターに克己することができていたか。
見えなくなった?見なくなった?物事をただただ受け入れること、それが一番難しい。
「対象」は「自分」ありき。「ありのまま」はどこにある?「観点」なんて、いやらしい。「真実」なんて、うそくさい。
五感が邪魔する。五感が邪魔する。体いっぱい無駄な抵抗が快楽を運んでくる。
濾過する前の不可解な「現実」そのままをアリスが躊躇うことなく受け入れて行く様は、気持ち悪いが小気味いい。
アリス役のクリスティーナ・コホトヴァ(Kristýna Kohoutová)の繊細な演技に大感心!彼女はアリスだ!