『オテサーネク 妄想の子供(Otesánek)』ヤン・シュヴァンクマイエル(Jan Švankmajer)

父は父、母は母、オティークはオティークであろうとした。きっとそれだけ。

オテサーネク(廉価版) [DVD]

オテサーネク(廉価版) [DVD]

くせになる監督、チェコスロバキアプラハ出身、ヤン・シュヴァンクマイエルの作品。
『アリス』に続き、こちらも観てしまう。(参考:Sep.13, 2008
『オテサーネク』は意外と展開や表現がわかりやすくて、初心者(何の?)の自分には良かったのかもしれないー。
 
子どもができずに悩むホラーク夫妻。偶然見つけた泥まみれの切り株。妻のちょっとした慰みにでもなればと、夫は切り株を人形に見立て妻に手渡す。その一瞬で、オティークは生まれた。もしくは夫妻によって生まれさせられた。
 
体中をキリキリと締め付けるように進行するほの暗いストーリー。裏側で不気味に見え隠れするのは「オテサーネク」というチェコの民話。
本当に正しいのは、人間?民話?抗えない運命?
 
ボードゲームのように、何かが少しずつ着実に詰んで行く感覚。
ティークは誰?オテサーネクは誰?
何で、何で、が溜まってゆくと、人間は次第に何も疑問に思わなくなる。そして受け入れる。
「大人」しいとは妙な表現。見終わると「大人」になれる映画です。
 
絵本もある。

オテサーネク

オテサーネク

映画にも出てくるこの絵本は、監督の奥さんが描いたらしい。
 
「悪いこと」があると、人間はすぐにでも天罰と思いたがる。
どうにかこうにか、理由をつけなければ気が済まない。理不尽って言葉をつくったくせに。