『ファウスト(Lekce Faust)』ヤン・シュヴァンクマイエル(Jan Švankmajer)

だぼだぼ滴る狂気がべったり。

ヤン・シュヴァンクマイエル ファウスト [DVD]

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撮影中にスタッフ1人が自殺、1人が自殺未遂、そして主役のペトル・チャペックは8ヶ月後に病死したそうです。
人形の声は全員同一人物。ラストシーンに次作『悦楽共犯者(Spiklenci slasti)』の主役が出演。
 
悪魔に翻弄させられた不幸な男の悲劇…とも思ったけれど、滑稽な喜劇のような気もする。
 
いったい誰が操り、誰が操られている?
どこに立っても安心できない。破れ目をくぐって深呼吸、ふらり気づけば空も海も鏡張り。
「観客たち」は誰?そして足。足!
どこからが劇場で、どこからが現実なのか。夢の境も行方不明。
ゆっくりじっくり、息吸う口を塞がれるようにきりきりと圧倒させられる。
 
明瞭な「境」を考える自分の方がおかしいのか。
考えるほどにファウストの茂みは深く深く。もうどうしようもない。
 
こんなときは……
 
 
ピルケ!
 
ヴルルr
 
 
…で終わるのもこわいので、一応パドルケ。