『おくりびと』滝田洋二郎
- 出版社/メーカー: セディックインターナショナル
- 発売日: 2009/03/18
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『おくりびと』を観たのはいつだったかなと思って考えてみたところ、昨年の10月だった。アカデミー賞を受賞して全国で盛り上がったせいか、映画館に行ったのがついこの間のようだ。
十分楽しめたのだけれど、いまだにちょっともやもやとした感じが残っているので、個人的に整理。
以下、否定的意見ばかり書くのは、全体的には良い映画だなと思っているから。なのに何故か自分の中での評価が定まらないので、もやもやの部分だけをとりあえず。
『おくりびと』は蛇足が非常に多いんだと思う。説明的というか、あまりにメッセージ性が強すぎる。
白子を食べるシーン、石文のシーン、小さなチェロの演奏とか、メタファーや話の構造がいちいち見透けていて、せっかくの作品に噛み応えがない。
それから、久石譲は決して嫌いではないけれども、あの人はいつも場面を盛り立てすぎる。シーンに合った音楽というのは、サントラとしては最低条件かもしれない。けれど、ほら楽しいだろ!ほら悲しいだろ!と言わんばかりのずけずけ勇み足では、ちょっとお節介である。*1
以上あいまって先日の、アカデミー賞受賞。
あぁやっぱりそういうのがアメリカ人好みなのねと思って、ますます『おくりびと』に対する気持ちが冷めてしまった。同じく、濃い味付けばかり大好きのアカデミー賞に対しても。
ブームに関連して、アカデミー賞受賞後映画館が急に超満員!なんかは呆れてしまう。
作品を観に行っているのか、透けて見えるオスカー像を眺めに行っているのか。
きっと、世の中の人たちはみんな「保証(や保障)」が欲しいんだろう。この映画に1,800円出す価値があるのか、2時間時間をつぶす価値があるのか。権威的なお墨付きを得て、ようやく「楽しめる」。数ある選択肢の中から自由に選択しているつもりで、何も「選んで」いない。
うん。もちろん自分自身にも当てはまることだと思っています。だからこその自省のために。
誤解の無いよう繰り返すけれども、『おくりびと』は好きな映画の一つだ。
納棺師のプロの仕事っぷりにも惹かれた。映像も綺麗だった。
全体は好きだけれども、ストーリーの部分部分でどうにも微妙にしっくりこない。それだけの話。
ところで、滝田洋二郎監督の次回作は『釣りキチ三平』。
http://www.san-pei.com/
原作者の矢口高雄は秋田県の人で、三平の絵はあきたこまちの米袋などでもたびたび見かけた。
作品の出来がどうなのか知らないが、『おくりびと』効果&『おくりびと』以上の質で秋田県が盛り上がることを祈っております。
- 作者: 矢口高雄
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もう一つ。滝田洋二郎作品だと
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を観たことがある。広末涼子はこちらにも登場。
原作は読んでいないのだけど、ラストシーンには抵抗があった。きっと賛否両論。
でも、鑑賞中いろいろと人生についてしみじみ考えられるすてきな映画と思うー。