『月の本』 林完次

月への愛情が、いっぱい。
月の本―perfect guide to the MOON
月に関した写真集は書店に数多く並んでいるけれど、この本は子どもの頃に熱中した図鑑のような個性的なレイアウト。綺麗な写真を載せているだけでなく、神話や科学などの関連説明と組み合わせて、月の神秘性を存分に引き出しています。取り上げている参考文献は、聖書やアポロの通信記録などのよく知られたものから、雑誌ムーのようなオカルト系の資料まで。詩、短歌、俳句、ことわざ、月の地理、世界の月の呼び名、月の神様など、豆知識もふんだんに含まれています。月をモチーフにした古今東西たくさんの絵は、眺めているとどれも不思議な気分になるものばかり。
著者が本の中で何度も触れていますが、ルナティック(lunatic:狂気じみた)という言葉がこの本にはよく似合う!月をただの綺麗な景色と捉えるつもりはさらさら無いのでしょう。月は人間の心と地球を惑わす、魔物。「狂ってますね」と声をかけても、著者は褒め言葉と受け取ってくれるんじゃないでしょうか。
最初から最後までフルカラー。内容が濃いものの、ほとんどが1ページで1項目を説明し終えるつくりになっているので、読みたいときに好きなページをパラパラめくるだけで十分楽しめます。表紙だけでなく、カバーを外した後の装丁も綺麗。落ち着いた雰囲気のハードカバーが、本を手元にずっと置いておきたくさせてくれます。97年の初刊を持っていますが、好評だったのか2000年に再刊されたようです。
月の写真集をどれか一冊選べと言われたら、自分はこの本を選びます。謎や幻想的な魅力たっぷりの月図鑑、きっと月が大好きになります。
 
月の本―perfect guide to the MOON
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