『原色小倉百人一首』 鈴木日出男他

易しい、優しい百人一首
原色小倉百人一首―古典短歌の精髄をカラーで再現 (シグマベスト)
小倉百人一首を一首ずつフルカラーで解説しています。どの歌にも綺麗な写真が載っていて、歌の意味が少しくらい分からなくても、十分楽しめるでしょう。写真だけでも一冊作れそうなくらい。全体の作りは高校の教材などに使われる国語便覧のような感じ。歌の背景や語法など解説の類は、ほとんどが1ページに収まっています。有名どころの歌は見開きになっていて、普通より大きな写真が添えられています。大事な歌でも文法解説をくどくどやらない辺りが、歌を好きになって欲しいという編集者の気持ちを表しているような気がします。古文が得意でも不得意でも解説はちょうど良い量なので、消化不良になりません。
まず、その安さにびっくり。560円でよくもこのクオリティを出せるなと感心します。自分が割と気にしてしまうカバーを取った後の装丁もとっても綺麗。肝心の内容は、歌の詳しい解説はもちろんのこと、枕詞や掛詞など各種表現技法、歌枕(ex.逢坂の関、末の松山)、よく出てくる語法(ex.係り結び)などが簡潔にまとめられていて、ちょっとした勉強になります。1997年に初版が出版されましたが、きっと好評だったんでしょう、2005年には新しく朗詠CD付きのバージョンも出ました。それでも900円行かない親切な価格設定。CDを聴くのが億劫になりがちなので、本だけで十分かなと個人的には思います。
一生懸命読んで嫌いになるより、気軽に触れて歌を好きになって欲しいです。百人一首なんて楽勝!なんて方よりも、古文が苦手or嫌いだった方に特に薦めてあげたい。自分の場合、持っているものとは別にもう一冊買って、祖母にプレゼントしました。
百人一首の大本命。誰かにあげたくなる本、見せびらかしたくなる魅力的な一冊です。
 
原色小倉百人一首―古典短歌の精髄をカラーで再現 (シグマベスト)
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