「ごみよけトリー」

okapia2007-02-28

右の写真は普通の鳥居。
「ごみよけトリー」
http://www.new-material.com/condtn/gomiyoke.htm
ゴミの不法投棄を防ぐために有限会社ニューマテリアルから発売された、神社の鳥居「風」の置物。高さ100cm、幅70cm、重さ1.1kg。バチがあたることを恐れた人間に不法投棄をさせにくくする意図をもって製作。本物の鳥居と間違えないよう、ごみよけトリーでは横に延びた板の下(貫)側が長くなっています(↑URL参照)。本物の鳥居(=今日の画像)は上(笠木)側が長いです。違いに気づきましたか?
同社によれば、「鳥居でないのに効果抜群!」だそうな。事実、かなりの数の自治体で啓発看板以上の効果があったといいます。似たような政策では、旧山口市秋穂町が不法投棄頻発区域に阿吽の仁王像を配置して改善効果を上げたという取り組みも。摘発が難しい不法投棄を減らすには、現行犯を取り締まるよりも、不法投棄行動自体を未然に防ぐことが重要です。経済的な面から考えれば、小さなコストで大きな成果が生まれているのだから喜ぶべきなのかもしれません。
でも、何かひっかかる!神様を冒涜している気がするし、巧妙に騙されている気もする。たとえ鳥居が偽物だと知っていたとしても、どうもゴミは捨てにくい。他宗教信仰者でも、何も気にせずにゴミを撒き散らかせる人間はあまりいないでしょう。人間がこんなことをして、地域の神様はどう思っているんだろう。むしろ設置者にバチが当たるんじゃないか。現代の日本は無宗教だと言われている中で、自分自身を含め、根っこにある信心深さを如実に浮き彫りにさせる行動現象でもあります。
ところで素人目で考えても、地方自治体の行政運営において、こうした宗教的強迫方法を取ることは政教分離の観点からはなはだ疑問です。国の靖国問題と比べれば問題の程度は一見小さそうでも、行政機関が宗教を利用して国民を威圧することは、単に宗教活動へ公金を支出した以上の意味を持つのではないでしょうか。本物の鳥居とデザインが多少違うとはいえ、本物と同様の宗教的威圧効果を狙って作られた製品であるのは火を見るより明らか。もちろん、一政策の結果として不法投棄が減ったのかもしれませんが、それ以上に恐い、行政機関による人権侵害の危険性・可能性が否定できません。今回は冗談みたいな話でも、彼らがこれに味を占めて、たとえば駐車禁止区域に鳥居を配置してみたり、交番の前に仁王像を置いてみたり、少しずつ使用範囲を広げてゆく様子を想像すれば、今現在はあまり取沙汰されていない鳥居問題も決して看過できない事例のように思います。
(画像source:http://www.kyoto-chirashi.com/kojin/
 
「ごみよけトリー」
http://www.new-material.com/condtn/gomiyoke.htm