昆虫料理

虫が苦手な方はじっくり読まない方がいいかもしれないー…よと警告しつつ。
 
 
自分も特別好きではないのだけれど、かなり前から非常に興味深く思っていた分野。ここに載せようかどうかは迷うものの、忘れる前に書いてしまうことにしました。
 
昆虫料理で有名な、内山昭一という方がいます。

楽しい昆虫料理

楽しい昆虫料理

さまざまな虫を使ったおいしい(?)料理が紹介されているそうです。「うまい虫、まずい虫ランキング」などをはじめ、これまで虫料理なんて意識もしなかった人でも聞くだけ聞いてみようかと思うような話がたくさん。自分はまだ持っていないのですが、内山さんのサイトだけでもお腹いっぱい(゜ロ゜)

http://www.bekkoame.ne.jp/~s-uchi/musikui/musikui.html
料理名の転載は控えます。恐いもの見たさで見てしまう。ひいいぃ。
でもほんとにおいしいらしくて、例会(捕る・料理する・食べるの三つを兼ね備えたお料理パーティー)には、老若男女問わず毎回多数の参加者がいるのだとか。
 
…まぁ、自分でもイナゴの佃煮なんかは昔から普通に食べていましたけどね。この間も巣鴨で試食の佃煮をつまんできたし。ハチノコは食べたことがないのだけれど、興味はある。ハチミツだって昆虫食っちゃあ昆虫食。
人類は古代から、そして現代においても、世界中で昆虫食を食べています。今の、日本の、一般的な食事文化において、たまたま!虫を積極的に食べる習慣が廃れているだけ(のはず)。

虫を食べる文化誌

虫を食べる文化誌

…とはいえ、それを生理的に否定したくなるのが現代人。
 
でも未来では??
 
こちらのJAXA宇宙航空研究開発機構)の資料には、宇宙開拓の発展には昆虫食が役立つだろうとする意見が載っています。JAXAは日本のNASAに相当する機関。そう遠くない将来、人類は昆虫食と大真面目に向き合う必要があるのです。

http://www.isas.ac.jp/j/mailmaga/backnumber/2008/back186.shtml

★01:昆虫をたべて火星にいこう

「飢餓の被害者から宇宙飛行士にいたるすべての人々に昆虫食を普及させる国連の会議が開かれた」というAP発のニュースが、ウェブ上で世界を駆けめぐった。そのうちのひとつの
新しいウィンドウが開きます http://www.foxnews.com/story/0,2933,332172,00.html には、おいしそうなタガメの写真が添えられている。この会議は、国連の食料・農業機構(FAO)が、昆虫食の本場であるタイ・チェンマイで開催した。アフリカ、ラテンアメリカ、アジアの90の国で1,400種にのぼる昆虫がたべられている。昆虫は飢饉に対して有効な食材なのだから、持続可能な文明をつくるためにも、昆虫食の意義をきちんと主張しようという会議であった。

 わたしたち宇宙農業サロンでは、火星で、食料や酸素、水を、人間の排泄物や口からはきだす二酸化炭素を原料にして、植物のはたらきで再生するという生命維持のしくみを研究している。植物起源の食材だけでは健康をそこねる。インドの菜食主義者は牛乳を食材に加えている。火星では、樹木の栽培にあわせてカイコを、またイネと一緒に水田でドジョウを育てようという構想を、わたしたちは検討してきた。冒頭のニュースの「宇宙飛行士に昆虫」は宇宙農業サロンのメンバーの一人の三橋淳先生が、チェンマイの会議で発表したものである。

 欧米風の肉食を中心とする食事が高級でよいものだとすると、世界中の人があまねく饗するには、地球が6個もいる。すなわち6人に5人は食べることができない。昆虫(やドジョウ)を食べるなら、人間の食料植物生産とそれほど競合はしないので、皆が食べることができる。バイオエタノールで車を走らせるというのは(宇宙でもハレの日にはお酒で乾杯をと、醸造をしてみた経験からすると)狂気の沙汰だ。

 さて、宇宙農業をこれからになう若者をリクルートしようと、高校1年生の生物の授業におしかけた。教室では、研究者の間からは浮かび上がらないような よい質問がたくさん飛び出した。

 宇宙農業:高校生Q&Aのうち、昆虫食に関係する部分を紹介しよう。


▼ カイコをどのように食べるか

 生のサナギを天ぷらにしてそのままたべるのが一番。進化系統樹でわかるように、カイコなど昆虫とエビやカニは近縁であり、サナギの天ぷらは、カニ味噌風味である。天ぷらのほかに、ゆでたサナギそのもの(スナック)、サナギ入り味噌風味豆腐ハンバーグ、サナギ・つくね、サナギ・きなこ・玄米粉のケーキやクッキー、サナギ入り福寿餅などたくさん考案されている。中国では中年・老年者むけ強壮薬膳にカイコ・サナギがつかわれている。韓国では、コンビニエンス・ストアで日本でのツナ缶とおなじようにカイコのサナギ(韓国語でポンデキ)の缶詰が売られている。日本でも、甘辛く煮たサナギは長野名物である。


▼ カイコの寿司はあるか

 醸造酢で酢飯をつくり、トッピングをそえるスタイルの寿司は江戸時代にファースト・フードとして発達した。鮨の原型は「なれ鮨」であり、大津など琵琶湖周辺で米飯と魚を積層してつくるフナ鮨はよく知られている。デンプンが分解して小さな糖分子ができ、乳酸菌による発酵で糖は酢酸などになる。酸性にかたむくことで、病原性細菌をふくむ他の細菌がそこでは増殖できず、なれ鮨は保存食となる。魚のタンパクは発酵により小さなアミノ酸分子となり、細菌の増殖をうながす。大きなタンパク分子は味がしないが、分解した(腐ってできた)アミノ酸分子はよい味となる。

 寿司は長寿地域である日本の健康な日本食というふれこみもあり、いまや世界のさまざまなところ(北米大都市、そして金持ちがあふれるモスクワ)で高級料理として流行している。カリフォルニア巻きとかそれぞれの地域で独自な発展もみせており、今年くらいに、どこかでカイコの寿司がでてもおかしくはない。


▼ カイコ以外のたべる昆虫の候補

 エビガラスズメ:カイコは絹を作るために育種されてきたので、幼虫はシルク・ファイバー(タンパク分子)のもとになる絹糸腺という組織を発達させる。したがってマユを作った後のサナギにふくまれるタンパクはすくなくなる。エビガラスズメのサナギはそのようなことはない。エビガラスズメのサナギはカイコに比べて大きく、天ぷらにした味も一段とよい。ただし、雌雄の成虫が飛翔しながら交尾するので、火星でうまく飛べるかが心配である。カイコの成虫は飛ぶことはできず、なにかの表面のうえで交尾する。

 シロアリ:木のセルロースを食べ、消化管内で共生している微生物がセルロースを分解してシロアリの養分としている。アフリカには、シロアリ食文化のある地域がある。

 ハエ:排泄物や腐ったものをハエのウジはたべて育つ。短い時間で育つし、大量生産する技術も確立されている。ウジは古くから食用され、薬としても使われた。よい味のするグルタミン酸などのアミノ酸が多くふくまれていて、ウジはおいしいとのことだが、まだ自分で食べていないのでわからない。

 アリ:アリは体内に蟻酸をつくり、酸味がほしいときによい食材である。

 ミールワーム:ペットの餌として養殖技術が確立されており、北米では唐揚げしていろいろな味をつけたものが広く売られている。

 ハチ:ミツバチは家畜化された昆虫(ミツバチとカイコ)。蜂蜜ばかりでなく幼虫は高級食材である。

 イナゴ:その名前(稲子)がしめすように、人間の主食であるイネを食害する昆虫であるが、貴重なタンパク、カルシウム源として稲作地帯で食用されてきた。我が家の子供たちは、イナゴを食べると足がはやくなると信じて食べている。


▼ なんでカイコなのか

 カイコは とばない にげない かわいい。


▼ タンパクなら昆虫でなくともダイズでよい

 たしかにダイズにはタンパクが多い。胚芽米や玄米からもタンパクをとれるのだが、必要量とろうとすると、てんこ盛りのどんぶりとなり、炭水化物をとりすぎる。タンパクは消化管から吸収されるときは分解されて小さなアミノ酸分子となる。ヒトが必要とするたくさんの種類のアミノ酸のそれぞれの量を過不足なくとろうとすると、(ソバは満点なのだが)多くの植物ではたりないアミノ酸がでてくる。動物のタンパクのアミノ酸構成が植物のそれと相補うというのが、食品材料に動物をふくめる一つの理由だ。植物からとれない栄養成分には、コレステロールのような動物しか作らない脂肪分子やビタミンD(キノコでもとれるが)や、B12がある。


▼ カイコのマユは利用するのか

 マユは衣料にする。絹繊維はタンパク(フィブロイン)でできているので、いざとなれば食用できる。繊維の表面にはセリシンというタンパクがあり、繊維と繊維を接着している。セリシンは保湿効果とか耐紫外線効果などが注目され、高価な化粧品の原料になっている。ウグイスの糞とおなじくカイコの幼虫の糞も化粧品としてつかわれる。緑色の歯磨き粉にも、かつて糞がいれられていたという。ラオスなどでは、「蚕砂」という名称でカイコの幼虫の糞をティーバッグに入れて煎じてのむ。クワの茶は、糖尿病防止などの効果がいわれているが、薬理効果がきちんとあるのかはしらない。


▼ カイコではなくクワの葉をたべるほかのおいしい昆虫は作れないか

 植物は動物による食害から自分をまもるように、さまざまな毒や忌避物質をつくるようになった。ある植物種の毒を破る技をある動物種が獲得すると、その植物は破った動物が独占できる。カイコは甘さのほかにクワの葉の味を感ずる器官をつくり、クワの葉しかたべない。その器官をこわすと、カイコはクワ以外の葉もたべるようになる。


▼ 昆虫ばかり食べていてつらくないか

 アイリシュの女性から、いろいろな料理を工夫して作っても、両親はジャガイモとソーセージ以外たべないので努力しがいがないと嘆かれた。神経系の発達にはクリティカル・フェーズ(臨界期)があり、味覚もそのうちのひとつかもしれない。15才までにおいしいモノをたべないといけない。カイコなどおいしい料理を君がおいしく感じられないとしたら、それは料理に手をかけなかったご両親の責任だろう。子供ができたら、15才までは料理に手をかけること。


▼ 火星探査をする科学者はカイコを食べるのに抵抗はないか

 科学者は総じて貧乏なので、グルメはいらない。科学者の中でも、いくつかのタイプがある。フィールド系は食事をえらばない、実験系はチャレンジする。理論系はこの辺こころもとないのだが、理論系科学者は火星にいこうとはしないだろう。

(山下雅道、やました・まさみち)

この文章は若干悪乗りしてる感がありますが、真剣に考えるべき現実ではある。
 
こちらも参考までに。
wikipedia:昆虫食

現代社会では、一部地域、民族を除いて共通的、日常的には昆虫は食べられていないが、これは人口の大部分が昆虫から充分な栄養分をまかなえるだけの供給機構が構築されていないことと、他の食材が豊富となったためと考えられる。日常的な昆虫食が貧困の象徴や時代遅れの習慣と考えられていたり、ユダヤ教キリスト教セブンスデー・アドベンチスト教会など特定の宗教・宗派によっては特定の種類の昆虫がタブーとされている場合もある。しかし、近年では地域固有の食文化として積極的に見直されている例もある。タイの都市部では、調理済みの昆虫を屋台やレストランで観光客や都市部の住民に売っている光景がしばしば見られる。中国では、昔の質素な食事を再現した都市部のレストランで昆虫がメニューにのっていることがよくある。

栄養学的には、例えば蛾の蛹や幼虫では、乾燥重量の50%以上がタンパク質であることも普通であり、ミネラル類にも富み、加熱することで雑菌等の問題もなくなるので、食品として摂取する事になんら問題はないと考えられる。生態学的に見ると、昆虫が食べた植物のエネルギーを体質量(ボディマス)に変換する二次生産の効率は平均40%で、魚類の10%や恒温動物の 1〜3%に比べ非常に優れているため、昆虫類は生態学的および経済的に効率の良い動物性蛋白質の供給源となりうる。ただし、農地周辺から昆虫を採って食べる場合は、農作物を育てる過程で使用する農薬が昆虫に残留、蓄積している可能性があるため、健康への害に留意すべきである。
蜂の巣とはちみつ

なお、意識的には昆虫食をしていなくても、口や鼻に飛び込んだ虫を出せずにそのまま飲んでしまったり、野菜や穀物などに昆虫が混入して、そのまま調理された食品を食べる例は多く、多くの現代人は無意識に昆虫を食べたことがあるはずである。また、加工食品などに使われる着色料、光沢剤などの添加物に昆虫由来の成分が使われている場合もある。昆虫由来の着色料の中では、カイガラムシの一種エンジムシから採れる赤紫色のコチニール色素が最も有名である。はちみつはおそらく最も有名な昆虫由来の食品であり、はちのこは高級珍味として食される。

昆虫の中には、各種の寄生虫を持つ例もあり、また雑菌を保有していることも考えられるため、生食するのは他の動物同様それなりに危険である。ただし、昆虫を中間宿主とし、ヒトを終宿主とする寄生虫は知られていない。これはまた、昆虫食がヒトの食として恒久的かつ安定に存在していなかったことを意味するのかも知れない。

 
栄養価が豊富で、少ない土地や自然資源の乏しい宇宙でも増産が容易で、飢餓の解決に圧倒的に有効。人口爆発や宇宙進出など、人類が抱える大問題を一挙に解決するのは<昆虫食>なのか。
 
衛生面や味に関しては調理方法に委ねるとして(ちゃんと料理すればおいしいらしいし…)、問題は主観的な<抵抗感>とどのように付き合っていくか。一番難しく、そして根本的な問題〜。