『クリエイティブ・コモンズ・ジャパン』

okapia2007-03-05

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン』
http://www.creativecommons.jp/
知的財産権の保護についての議論がかまびすしい中、それらの権利の受容と利用の側面を重視し、文化の創造と発展を実現しようとする世界的運動。
以前書いた記事(『知的財産と創造性』http://d.hatena.ne.jp/okapia/20070222/p1)にもある通り、知的財産の保護と活用は往々にして二律背反です。保護を強めることで知的財産が自由に使えなくなり、また一方で利用を促進することで著作者の権利を侵害してしまう場合が多発します。
このような権利同士の矛盾した衝突の調整役として期待されているのが、「クリエイティブ・コモンズ」の概念です。どの程度まで作品の利用を許可するかの意思を、著作者に明示させます。著作者の意思が明確になることで、一般の人々が安心して作品の二次利用を行うことができるようになります。すなわち、どこまで使っていいのか分からずに創造性が低下してしまう萎縮効果を、できる限り小さくしようとした発展的な考え方です。
著作者の意思表示方法は大雑把に分けて、【A】表示(作品を利用する際に著作者名の明示を求める)【B】非営利(非営利の分野においてのみ、作品の利用を許可する)【C】改変の禁止(作品を改変しないのならば、作品の利用を許可する)【D】継承(作品を利用して新たな作品を生み出した場合、元の作品の意思表示を新しい作品にも受け継がなければならない。ex.「表示」&「非営利」)があります。これら4つをそれぞれ別々のマーク(http://www.creativecommons.jp/faq/1cc/post_69/)で表示することにより、著作者の意思をより明確にします。
ネットサーフィンをしていると、”ALL RIGHTS RESERVED.”または”NO RIGHTS RESERVED.”などの注意書きがされている場合がよくあります。前者は「権利は全て我々のものであるから、二次利用を禁止する」、後者は「権利は放棄しているので、何でも好きに使ってください」という意思を文字化しています。また、(C)の字のマークは自らの著作権の積極的な訴えです。
クリエイティブ・コモンズは、上記のような両極端な著作権の思考の中間にあります。だから、より柔軟な意思表示が出来、安全・安心な二次利用の促進、ひいては人類の文化的発展に貢献できる道具なのです。
自分は知的財産に関する専門家ではないので、このような発展的運動の正否は完全にはわかりません。しかし、保護するのかしないのか、二者択一一辺倒で進められている知的財産議論に対して、より進歩的な折衷案を提案したクリエイティブ・コモンズの思考法は、中身のある深い議論をする上で高く評価できるものだと感じています。
(参考:Wikipedia クリエイティブ・コモンズ
 
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン』
http://www.creativecommons.jp/