『縦書きブログ』

okapia2008-02-24

『縦書きブログ』
http://www.tategaki.jp/
「俳句や短歌で綴る日記など、日本文化を表現するのにもぴったり」…そうかもね。俳句や短歌が横書きだと少し興ざめします。
 
縦書きの新聞や広報をPDFで読んでると…やっぱりパソコンという媒体に縦は合わないんだろうなぁ、と思う。
たとえば、ここ。
月刊「福祉広報」サンプル
(PDFへのリンクですので、表示にやや時間がかかる場合があります)
このような縦書きを、暫定的に「新聞型縦書き」と名付けます。
 
電子画面での新聞型縦書きは、なぜ読みにくいんだろう。
 
…たぶん、電子画面は視点移動と実際の表示がずれちゃうんだ。それでストレスを感じる。目線は右下にある次のパラグラフの1行目に移っているのに、画面には一部しか表示されない。
 
新聞型縦書きの弱点は、1行分の幅を縦に丸々表示しないと読みきれないところ。たとえば縦の行が縦10cmだとしたら、画面を10cm縦スクロールさせないとたった1行すら読みきれない。
一方で横書きの1文字が縦1cmなら、縦1cm分スクロールさせればきっかり1行が読める。
 
電子画面の短所でもあり長所でもあるのは、実際に手を動かしてスクロールさせないと、他の画面をちらとも見ることができないところ。紙媒体なら何となく次の文が見えちゃったりするけれど、電子画面だとそれが全くない。
「次」が見えない電子画面では、まだ見ぬ文へのわくわく感が生まれる。
それに引き換え、電子画面の新聞型縦書きは1行読むために先数十行を全て表示させないといけない。これでは文章の奥深さが半減してしまう。
 
まとめると、電子画面での新聞型縦書きの短所は2つ。

・スクロール必要幅と実際に読みたい情報量のコストパフォーマンスが悪い。
・1行表示させた時点で先の行が丸見え。

これら2つの画面構成上の理由から、電子画面での新聞型縦書きはいまいちなんだと思った。
図でも使えばもう少しわかりやすく説明できるとは思うんだけど。
 
これらの悪手を打たないためには、縦書きは縦書きでも新聞のようなレイアウトではなく、巻物形式にするしかない。巻物形式であれば、スクロール方向が横になるだけ。
「巻物型縦書き」と名付けましょう。
電子画面で縦書きを実現するためには、新聞型縦書きではなく巻物型縦書きを目指すほか無い。
 
では、自分の理論から考えて、『縦書きブログ』の中から、電子画面縦書きのデメリットを最小限に抑えられているかどうか、すなわち新聞型か巻物型かを念頭に選んでみると、

八軒家南斉「その日その日らく描き絵巻」○(巻物型)
森村誠一「写真俳句館」○(巻物型)
米山公啓「日刊フジ物語」○(巻物型)
上田早夕里「上田早夕里ウェブログ」×(新聞型)

となる。
もちろん、文章の良し悪しとは全く関係無い評価です。
 
上田さんの、
http://www1.tategaki.jp/ueda/2008/01/post_3.html

……これは横スクロールバーを出現させない方法。以下に続くのが新方式です。管理画面でログの投稿日を同日にして、時間設定を少しづつずらしていく。縦スクロールのみで記事の内容を追っていく形になります。ちゃんと表示されているでしょうか。

 ページが変わるときの視点移動が「上・左下」から「下・右上」と斜め移動になるところが煩わしいといえば煩わしいですが、この視点移動は、紙媒体だと新聞や雑誌の記事に近い感じですね。……

これがよくない!
縦書きを電子画面で表現するなら、新聞型ではなく巻物型にしないと、縦書きのデメリットが目立ってしまう。
 
というか、あれだな。
新聞型ってのは紙面が限られているからスペースをできるだけ効率的に使おうという考えが根底にあるんであって、電子画面のような際限無く記述可能な場所では無理やり新聞型に収める必要は無い。巻物型で構わないくらい広いスペースがあるのなら、制約の多い新聞型にあえて拘泥する必要はないということか。
 
 
…以上、電子画面縦書きを有効活用するにはどうしたらいいのかをつらつらと考えましたが…
縦書きでも読みやすい電子画面構成を考えるのは非常にめんどくさいということがわかりました。
 
横スクロールは指や肩に負担がかかるから、身体的にもストレスを感じるし。
 
紙面での縦書きは否定しませんが、結局、電子画面だとそりゃあ横書きの方がいいだろ、という結論になりました。
 
なんか悔しいな。
 
新聞型でも巻物型でも、
縦書き電子画面だとこんなものすごいメリットがあるよ!
という発見をされた方は、ぜひとも教えてください。
 
(画像:http://www.flickr.com/photos/15684538@N00/488599660