信用

okapia2008-12-05

考えるときに、無意識に独り言を口走りたくなることがある。理由をたどれば、結局、重要な情報を選別して、可能な限り思考を明瞭にしたいということなんだろう。誰かに悩みを相談しているうちに問題が自己解決した、なんて笑い話とも似ている。余計な誤解満載の頭の中で「考える」より、空気しかないキレイなところに言葉を吐き出した方が、そりゃあすっきりするだろうというもの。
ただ、以上が成り立つのは、実質的な処理スピードが「思考そのもの>独り言」か「思考そのもの=独り言」である場合に限る。独り言が一人歩きを始めた場合、すなわち「独り言>思考そのもの」に転化し始めたときには、正直死にたくなる。「自分でないもの」が「自分」よりも先を走って背中の後ろが見えなくなる事態がおそろしいのか。自分の尻尾を延々とぐるぐる追いかけ続ける猫のようなイメージ。今だ牙剥きがっぷり噛みついた影には、残像すらありゃしない。置いて行かれ、置いて行かれ、置いて行かれてとっさに目を閉じる。こわくてこわくて目を閉じる。真っ暗闇に、まだ「自分」が映っているような気がして、もう一枚まぶたがあったらいいのにと願って祈って、眩しすぎて気を失いそうになった頃には、たった一枚のまぶたは勝手に開き始める。