不思議の国のアリス症候群

okapia2007-12-25

どこかで目にして、非常に印象深かったのでまとめ。
 
不思議の国のアリス症候群」とは、知覚された空間や時間などの外界に対する主観的感覚の異常や変容をともなう症候群。精神科医トッド(Todd)が、1955年に命名
相手や自分の体が異様に大きく見える、近い物が遠い、遠い物が近い、重い物が軽い、軽い物が重い、固い物が柔らかい、柔らかい物が固い、時間感覚がおかしい、見ている物が回転し始める、体の浮遊感…などの症状。
視覚の身体的な障害とは異なる。あくまで主観的な感覚異常、脳の誤作動、一種の錯視。Alice in wonderland syndrome, AIWS。
 

この症状では典型的には、視覚では外界が通常と同じように見えているにもかかわらず、一方では主観的にそれらが通常よりも極めて小さな、または大きなものになったように感じられたり、ずっと遠く、あるいは近くにあるように感じられたりする。自分の体は逆にそれぞれ大きく、または小さくなったように思う。 例えば、犬のようなペットがネズミと同じ大きさに感じられたりする。外界が小さく感じられるものを小視症 (micropsia)、大きく感じられるものを大視症 (macropsia)、ひずんで感じられるものを変視症 (metamorphopsia) と呼ぶ場合もあるが、視覚そのもの障害による症状との混乱がみられる。

この症状にはさまざまなバリエーションがある[1]。例えば対象や位置が限定されており、人の顔以外を見たときにのみこの現象が現れる人や、右半分だけが 2 倍の大きさになったように感じる人もいる。ひとつ具体例を挙げると、テレビに映る人物の顔と体の比率が歪み、全身が映し出されているにもかかわらずその人物が何頭身であるかを認識できなくなったりする。またこの現象は視覚だけでなく触覚や身体イメージ (body image) によっても起こり、自分の片方の耳だけが何倍にも大きくなったように感じられることもある。さらに、空間の感覚だけでなく時間の感覚に関して類似した現象が起こることもあり、時間の進み方が速くなったり遅くなったりしたように感じる人もいる。現象は数分で終わることもあれば、何日も継続する場合もある。

不思議の国のアリス症候群を定常的にもつ人の多くは偏頭痛 (migraine) をもっている。 また、ある種のウイルスによる脳炎てんかん統合失調症の患者からも報告されることがある。 さらにある種の向精神薬によってもこの症状が現れることがある。 特に、多くの人が子供のころに感染するヘルペスの一種であり、伝染性単核球症を引き起こすエプスタイン・バー・ウイルスの初期感染で報告されることが多く、このため子供のころ一過性のこの症状を体験した人は比較的多い。

この症候群の名前は、ルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』で薬を飲んだアリスが大きくなったり小さくなったりするエピソードに因んで1955年にトッドによりに名付けられた[2]。 ルイス・キャロルは偏頭痛に悩んでいたことが知られており、彼自身がこの症状をはじめとする小説内のエピソードを体験していたかもしれないとする推測もある[3]。

 
(画像:http://www.flickr.com/photos/68731984@N00/532289013