『ことばの歳時記』(金田一春彦)

okapia2008-02-15

ことばの魅力、春彦ブログ。


ことばの歳時記 (新潮文庫)

ことばの歳時記 (新潮文庫)

 

金田一春彦といえば著名な大国語学者ですが、その春彦がつづるブログのような本です。
1日1テーマ、366日どの日も片面ページで収まる量で書かれたエッセイ集。ことばに関する内容から派生した味わい深い文章の数々。日々季節のテーマを採り上げながら一日も続けて書かれているので、前日や過去の記事の補足などもたびたび。これは、いわば現代のブログの先取りです。
たとえば今日2/15は西行忌、それにちなんで「西行」というタイトル。
読み終わったのは最近なので記憶に残っている年末の記事から印象深いものを引用すれば、
 

12月30日「海苔」
……熟字訓のうち、最も多いものは「海苔」のように「海」という字を上にかぶせたもので、これは、日本語に海産物の名が多いことを表わし、つまり日本人が海に依存することが多いことを表わす。エビと読む「海老」、ウニと読む「海胆」、イルカと読む「海豚」などすべてその例であるが、これにアマと読む「海人」、オゴと読む「海髪」を加えて、戦前は「海」という時は「アイウエオと読む」と言われたものだった。

 
文章も小難しくなく、それでいて前知識があれば更に味わい噛み締められるような素敵なエッセイ。春彦が、あーでもないこーでもないと呟きながら、さまざまな参考文献とともにことばを考察しています。
昭和40年にブログが無かったのが残念。この春彦の文章を毎日の記事にしてコメントやトラックバックや様々なURLがリンクされたりしたら、さぞや賑わいで興味深いブログになるんだろうなーとわくわくします。
 
 
(画像:http://www.flickr.com/photos/41783029@N00/1497631384
 

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